ナッジ理論
意識していないけど、思わず行動してしまう。
そんな人間の行動を理論的にとらえた学問、行動科学の中にあるのが「ナッジ理論」です。
簡単な例でいうと、道路の白線。道路の両端に白い線が引かれているだけなのに、自然と車は端を走らずに道路の中心をを走ろうとしますね。そんな感じ。
このような実際の現象を例に、あるデザインや間接的な働きかけによって、ある行動が促されてるなぁということはこれまでも感じていたが、それを「ナッジ」という理論で説明されていることを最近知りました。
今回はちょっとそれについてまとめます。
と思ってなんや調べたら環境省の資料でまとめられているらしい。
ナッジ理論でノーベル経済学賞を受賞したセイラーの定義によると
選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測 可能な形で変える選択アーキテクチャーのあらゆる要素
Leonard, T. C. (2008). Richard H. Thaler, Cass R. Sunstein, Nudge: Improving decisions about health, wealth, and happiness.
ということ。
うん。うん?
ちょっと抽象化されすぎていてわかりにくいので部分部分での意味を見ていきましょう。
①選択を禁じることも、②経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、③人々の行動を予測可能な形で変える④選択アーキテクチャーのあらゆる要素
①あくまで個人の選択権があること(強制ではない)
②お金あげるからやってね!というお金だけの有益性だけで動いてもらうわけではない
③行動科学(行動経済学、心理学、社会学、認知科学、脳神経科学など)の知見や理論に基づいて
④人々が選択する際の「環境」のこと=自発的な意思決定のための環境をどうデザインするか
ということです。
簡単にいうと、「人が”思わずやってしまう/せずにはいられない”行動を意図的に作り出すモノ」ということですね。
ではでは、どういう場面で使われるのでしょうか?
セイラーさんがノーベル”経済学”賞を受賞したことから推察すると、なんとなく、企業のマーケティング施策で、人が商品を買う仕組みを作るため理論とも考えられそうです。
ただ、最近はSDGsや脱酸素、貧困問題などあらゆる社会課題解決を進めていくための一人一人の行動変容を促すためにも活用されているみたいです。
だから環境省の資料にまとめらているんですね。
また、こちらのページを参照すると、医療検診の受信率を高めるための施策としても活用されているよう。
面白いですね。
人々を好ましい方向動かすことを直接的にはたらきかけることが「啓発活動」だとしたら、間接的にはたらきかけることが「ナッジ」。
よく、「人は正しいことを真正面から言われると逆にその正しいことを拒絶する」と言いますが、そういった人の心理に対してうまく活用していけたら、ですね。