神経症(neurosis)
神経症(neurosis)は、2022年現在、いくつかの精神精神疾患の総称とされています。
不安障害、気分障害、物質使用障害、身体表現性障害、摂食障害、人格および行動障害、統合失調症などが含まれます。
「神経症」という概念は、精神疾患の概念でよく依拠される、DSM(アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準・診断分類)の定義の変遷があります。
「神経症」はDSM第2版までは掲載されたのですが、1980年にDSMの第3版が発行されときに削除されました。代わりに上記のいくつかの障害として細かく記載されるようになったそうです。
この改訂には、批判的な意見もあります。
それは、この改訂に医薬品業界の意向が大きく関与しているのではないかということです。
診断基準の拡大が「精神障害者」の数を増やし、「正常な」行動を病理化し、何千、何百万という新しい患者が、善よりも害をもたらすかもしれない薬物にさらされる可能性がある
といった主張があります。
これはつまり、そこまで問題はないとされてきた範囲の症状を、「〇〇障害」や「〇〇病」とカテゴライズすることで、人々にその症状を病気と認識させる、そして、その治療として医薬品を購入させる、という構造への批判ということです。
米国では、DSMのこの改訂に対して、心理学会やカウンセリング協会を中心に署名運動もおこったようです。
参考情報
D. Watson(2001), International Encyclopedia of the Social & Behavioral Sciences
Nursing Times, Controversy over DSM-5: new mental health guide, (https://www.nursingtimes.net/news/behind-the-headlines/controversy-over-dsm-5-new-mental-health-guide-24-08-2013/)
Psychiatric Times, Is the Criticism of DSM-5 Misguided? (https://www.psychiatrictimes.com/view/criticism-dsm-5-misguided)