去勢不安(castration anxiety)
去勢不安(castration anxiety)はJ.フロイトが提唱した概念の一つです。
Johnstone et al.,(2010)では、
父親が自分の去勢をするのではないかという脅威を感じる、子どもの妄想。
とされています。
フロイトは、5〜6歳ごろの子どもは、異性の親に対する愛と欲望の無意識的な感情を発達させると考えました。そして異性の親を独占したいという空想と、同性の親に対する攻撃的な空想が生まれるとしています。
男子の場合このような感情は、無意識のうちに父親を殺して母親と結婚したエディプスにちなんで、エディプス・コンプレックスと呼ばれます。
(知らず知らずのうちに母を愛し、父を殺したギリシャ神話のオイディプス王からとられているそうです。)
フロイトは、男児において、エディプスの幻想に対する罪悪感が去勢不安、つまり、を「子どもの敵対的衝動に対して、父親が自分のペニスを切り取って報復するのではないかという不安」が生じると考えました。
エディプス・コンプレックスは、子どもが同性の親と同一視することによって、これらの相反する恐怖と欲望を管理することによって解決されるといいます。
このプロセスの一環として、子どもは同性の仲間を求めることがあります。エディプス・コンプレックスとの交渉が成功すれば、その後の人生において安全な性的アイデンティティの基礎となるのです。
参考情報
Johnstone, E., Cunningham-Owens, D. G., & Lawrie, S. (2010). Companion to psychiatric studies e-book. Elsevier Health Sciences.
Stern, T. A., Fava, M., Wilens, T. E., & Rosenbaum, J. F. (2015). Massachusetts general hospital comprehensive clinical psychiatry. Elsevier Health Sciences.